防災・災害対応に活躍するドローンの2026年最前線を解説する記事
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ドローンが変える防災の現場 — 能登半島地震から自律飛行まで、2026年の活用最前線

2026年4月25日7分で読了強靭化Bizナビ編集部

2024年1月の能登半島地震では、孤立集落への物資輸送や被災状況の確認にドローンが大規模に活用され、その有用性が改めて実証されました。2026年現在、自律飛行技術や3D差分検知の実用化が進み、防災現場でのドローン活用は新たなフェーズに突入しています。本記事では、最新の活用事例と今後の展望を整理します。

防災・災害対応で活躍するドローンのイメージ

1|能登半島地震が証明したドローンの可能性

1-1 実際の活用内容

2024年1月の能登半島地震では、道路の寸断や孤立集落が多数発生し、従来の車両・人員による支援が困難な状況が続きました。この局面で、ドローンは以下の用途で実戦投入されました。

  • 被災状況の確認・空撮:車両が入れないエリアの被害状況をリアルタイムで把握
  • 捜索活動:サーマルカメラ搭載機による要救助者の発見支援
  • 物資輸送:孤立集落への緊急物資(医薬品・食料)の届け出し

総務省「令和6年版情報通信白書」でも、能登半島地震におけるドローン活用が「災害時の初動対応における有用性が確認された事例」として紹介されています。

※出典:総務省「令和6年版 情報通信白書 ドローン・ロボットの活用」白書を見る

1-2 NTT東日本グループの林野火災対応(2025年5月)

能登半島地震だけでなく、2025年5月には山形県高畠町で発生した林野火災において、NTT東日本グループがドローンによる空撮とリアルタイム映像配信を実施し、消火活動の指揮支援に活用されました。

※出典:NTT e-Drone Technology「災害対応ドローン」詳細を見る

2|自律飛行技術の実用化が加速

2-1 加賀市の防災訓練:複数機の自律飛行

石川県加賀市の総合防災訓練では、複数の自律飛行ドローンを同時運用し、被害状況映像を迅速に災害対策本部に届けることに成功しました。オペレーターが一機一機を個別操縦する従来方式から、自律型フリートへの進化が実証されています。

自律飛行の意義
オペレーターの負荷を大幅に下げながら、複数機の同時運用で広域の状況把握が可能になります。訓練や準備にかかるコストも削減でき、地方自治体でも導入しやすい環境が整いつつあります。

2-2 3D差分検知が「見えなかった被害」を可視化

最新のドローン活用として注目されているのが3D差分検知技術です。災害前後の3Dデータを比較することで、地盤の崩壊・建物の傾斜・道路の損壊などを数値として把握できます。

この技術により、これまで現地調査員が危険を冒して踏み込んでいた場所の状況を、安全な場所から正確に把握できるようになりました。復旧工事の優先順位付けや、二次災害リスクの事前評価にも活用されています。

気象データ・デジタル技術を活用した防災システムのイメージ

3|行政の取り組み:ハンドブックと制度整備

3-1 北海道「災害時ドローン活用ハンドブック」(2025年4月)

北海道経済部AI・DX推進局は、2025年4月に「災害時ドローン活用ハンドブック〜平時と災害時をまたぐシームレスなドローンの活用〜」を公開しました。このハンドブックは、平時のインフラ点検から災害時の応急対応まで、シームレスに活用するための手順と体制を整理したものです。

※出典:北海道「災害時ドローン活用ハンドブック」(2025年4月)PDF資料

3-2 中部地域の活用事例集

中部経済産業局の調査によると、中部7県(富山・石川・長野・岐阜・静岡・愛知・三重)における自治体ドローン活用事例のうち、「防災・災害対応」が最も多い活用分野となっています。次いで「物流」「農林水産業」「インフラ維持管理」の順です。

※出典:中部経済産業局「自治体によるドローンの活用事例集」2024年3月PDF資料

4|今後の展望と課題

4-1 普及の追い風:法整備と技術コストの低下

国土交通省は2022年以降、ドローンの「レベル4飛行」(有人地帯での補助者なし目視外飛行)を解禁し、都市部での物流・点検への活用が加速しています。機体コストの低下と操縦士資格制度の整備により、地方自治体や中小企業でも導入しやすい環境が整いつつあります。

4-2 残る課題:悪天候対応と通信インフラ

一方で、以下の課題が残っています。

  • 悪天候への対応力:大雨・強風・視界不良時のフライト制限
  • 通信インフラ依存:被災地では基地局ダウンによる制御不能リスク
  • バッテリー持続時間:長距離・長時間飛行への限界
  • 法規制の複雑さ:飛行エリアの許可取得プロセス

5|まとめ

この記事のポイント

  • 能登半島地震でドローンは捜索・空撮・物資輸送の実戦投入で有用性を証明
  • 自律飛行技術・3D差分検知の実用化が進み、防災ドローンは新フェーズへ
  • 北海道は「災害時ドローン活用ハンドブック」を公開(2025年4月)
  • 中部7県の自治体では「防災・災害対応」がドローン最多活用分野
  • 法整備・コスト低下で普及加速、悪天候対応・通信インフラが残る課題

防災現場でのドローン活用は、今後さらに多様化・高度化していきます。強靭化Bizナビでは、最新の導入事例や技術動向を継続的にお伝えします。

強靭化Bizナビ編集部

国土強靱化・防災ビジネスに特化した専門メディア「強靭化Bizナビ」の編集チーム。政策動向、市場分析、補助金情報、導入事例など、ビジネスパーソンの意思決定に役立つ情報を配信しています。