防災市場成長とビジネスデータ分析のイメージ
市場・ビジネス

防災情報システム市場が2026年に1,352億円規模へ — 国土強靱化中期計画20兆円が牽引する成長市場のビジネスチャンス

2026年5月16日9分で読了

防災・減災関連のITサービス市場が着実に拡大している。市場調査会社シード・プランニングの調査によれば、防災情報システム・サービス市場は2021年度の1,039億円から2026年には約1,352億円に成長すると予測されていた。この予測が現実となる2026年、国土強靱化中期計画(2026〜2030年)の本格始動が追い風となり、市場はさらなる拡大局面に入る可能性がある。

防災情報システム市場の定義と主要セグメント

防災情報システム・サービス市場とは、防災情報収集・分析・配信・管理に関わるITシステム・サービスを指す。主なセグメントには以下が含まれる。

  • 気象・災害情報配信サービス:リアルタイム気象データ、洪水・土砂崩れ警戒情報
  • インフラ監視・センシングシステム:橋梁・トンネル・ダムなどの IoTセンサーによる状態監視
  • 避難・安否確認システム:住民への情報配信、企業の従業員安否確認ツール
  • 防災訓練・シミュレーションシステム:地方自治体向けの災害対応訓練支援
  • 災害対応管理システム:被害状況の集約・共有・復旧作業管理

成長を牽引する3つのドライバー

1. 国土強靱化中期計画による需要創出

2025年6月6日に閣議決定された「第1次国土強靱化実施中期計画(2026〜2030年)」は、5年間で20兆円強の事業規模を持つ。そのうちの「デジタル等新技術の活用」分野に約0.3兆円が充当されており、AI・IoTを活用したインフラモニタリング、ドローンによる点検効率化、BIM/CIMの活用推進などが盛り込まれている。防災ITツールは、この予算を執行する自治体・国交省の事業から直接的な恩恵を受ける。

2. 自然災害の頻発化・激甚化

近年の気候変動の影響による台風・豪雨・地震の被害が相次いでおり、自治体・企業の防災投資意欲は高まっている。2024年1月の能登半島地震では、通信・情報収集の不備が初動の遅れにつながったことが指摘され、防災情報システムへの投資を加速させる契機となった。

3. AI・ドローン技術の急速な進化

防災分野へのAI活用は、予測精度の向上(河川水位AI予測、被害想定モデル)から、ドローンによる被害調査の自動化まで急速に広がっている。防災テック市場ではICTやAIを用いた新ビジネスが続々と誕生しており、従来の防災情報システム市場の枠組みを超えた成長が続いている。

市場成長と防災投資のデータ分析イメージ

ドローン市場の急拡大:防災用途が牽引

防災情報システム市場と密接に絡み合うのがドローン市場だ。調査によれば、2028年度のドローン市場は9,054億円に達し、年間平均成長率は18.6%と予測されている。2023年度の日本国内ドローンビジネス市場が3,854億円だったことを考えると、5年間でほぼ倍以上の成長が見込まれている。

ドローンの主要活用分野のひとつが防災・建設だ。災害時の被害調査(浸水範囲・建物被害の空撮)、インフラ点検(橋梁・ダム・送電線)、捜索救助の支援など、これまで人が危険を冒して行っていた作業をドローンが代替する動きが加速している。国土交通省もドローンを活用した点検の標準化を進めており、建設業者にとっての活用機会は拡大している。

シェルター整備が新しい市場セグメントを創出

2026年3月の閣議決定を受けたシェルター整備の加速は、防災情報システム市場に新たなセグメントを生み出す可能性がある。シェルター内の環境モニタリング(空気質・温度・湿度)、入退場管理システム、非常時通信システムなど、シェルター特有のITシステム需要が今後本格化すると見られる。

また、政府が「デュアルユース型」(有事と災害の兼用)シェルターを推進しているため、平時の防災訓練システムや避難誘導システムとシェルター管理システムの統合需要も生まれてくる。

建設業・中小企業の参入機会

防災情報システム市場への参入は、大手ITベンダーだけに限らない。以下のような建設業・中小企業の参入機会がある。

  1. IoTセンサー設置工事:インフラ監視センサーの設置・保守は建設業者の本業と親和性が高い
  2. ドローン点検サービス:道路・橋梁・建物のドローン点検を自社で提供または下請け受注
  3. シェルター内システム設備の設計・施工:監視カメラ、通信設備、環境センサーの設置工事
  4. 防災コンサルティング:自治体・企業向けのBCP策定支援と防災システム導入の一体提案

まとめ

防災情報システム市場は、国土強靱化予算の拡大・AI/ドローン技術の普及・シェルター整備の加速という三重の追い風を受けて拡大局面にある。1,352億円という市場規模はひとつの指標に過ぎないが、20兆円規模の国土強靱化投資を背景に、その数字を大きく上回る成長が現実のものとなりつつある。建設業者・中小企業にとっては、この市場の拡大期に先手を打って参入ポジションを確立することが重要だ。

強靭化Bizナビ 編集部

国土強靱化・防災ビジネスに特化した専門メディア「強靭化Bizナビ」の編集チーム。政策動向、市場分析、補助金情報、導入事例など、ビジネスパーソンの意思決定に役立つ情報を配信しています。