家庭用シェルターは「耐震」「屋内設置の核・防災」「地下型」の大きく3タイプに分かれる。値段は耐震の20万円台から、地下型の数千万円まで、守る対象で10倍以上ひらく。まず「何のリスクから守るか」を決めると、選ぶタイプと予算がほぼ決まる。なお2026年の時点では、家庭用シェルターに国の補助制度はない。この記事は、公開されている情報をもとに、タイプ別の相場と選び方を整理する。
タイプ別の相場(2026年)
家庭用シェルターは、守る対象によって構造も値段も変わる。地震の倒壊から命を守る耐震タイプと、放射性物質や有毒ガスまで想定する核・防災タイプでは、必要な気密性や設備がまるで違う。だから同じ「シェルター」でも、価格帯が桁でずれる。下の表は、シェルターを専門にあつかう会社が公開する相場を、タイプ別にまとめたものだ。
| タイプ | 主に守る対象 | 費用の目安 |
|---|---|---|
| 耐震シェルター(家具型) | 建物倒壊時の圧死 | 20万〜100万円 |
| 耐震シェルター(部屋型) | 建物倒壊・一室の安全確保 | 200万〜450万円 |
| 屋内設置型(エアコン型)核・防災 | 放射性物質・有毒ガス(短期) | 400万〜800万円 |
| 地下型 核シェルター(本体) | 核・生物・化学(長期避難) | 2,000万〜3,000万円以上 |
耐震シェルターは、寝室などに置いて倒壊から身を守る装置だ。核やガスにはこたえられない。屋内設置型は、壁掛けのエアコンのように部屋へ据える方式で、気密とフィルターで短期の避難ができる。地下型はもっとも防護の性能が高く、長期の避難を前提にする。同じ予算でも守れる範囲がまるで違うため、金額の前にリスクを決めるのが先になる。(出典: HANARE 家庭用シェルターの価格相場 https://www.hanare-shelter.com/blog/home-shelter-prices )
地下型は「住宅と一体」でさらに規模が変わる
地下型は、本体だけでなく住宅と一体でつくり込むと費用の桁が変わる。地下シェルター付き住宅の相場は4,000万〜1億円で、4〜6人向けの標準モデルは5,000万円前後が中心とされる。内訳は次のようになる。基礎の工事に1,000〜1,500万円、シェルターの本体に2,500〜3,000万円、内外装に1,000〜1,500万円。そこへフィルターと換気で500〜800万円が乗る。地上に置く大型モデルは3,500万〜7,500万円ほど、鉄筋コンクリート造の地下型では8,000万円を超える例もある。守る性能を上げるほど、構造と設備の比重が増していく。(出典: SHELTER HUB 地下シェルター付き住宅の値段 https://shelter-hub.jp/underground-shelter-home-price-guide-2026/ )
本体価格に含まれない「隠れた費用」
見積もりで見落としやすいのが、本体の値段に入らない付帯の費用だ。地下型では、地質の調査に200万〜500万円を見込む必要がある。加えて、地盤の状況によっては補強の工事も要る。既存の住宅へ後から据える場合は、設置の工事だけで本体価格の50〜100%が上乗せされることもある。つまり「本体○○万円」の表示だけで判断すると、総額が大きくずれてしまう。相場を見るときは、本体・工事・調査を分けて積み上げるのが安全だ。表示の価格と総額の差は、守る性能が高いタイプほど開いていく。だから見積もりは、内訳の細かさまでそろえて比べたい。(出典: SHELTER HUB/HANARE 前掲)
選び方は4つの順番で決める
選定は、次の4つを上から順に決めると迷わない。第一に、何のリスクから守るか。地震だけなら耐震タイプで足り、核やガスまで想定するなら屋内設置型か地下型になる。第二に、タイプ。防護の性能と予算のつり合いで、屋内設置型か地下型かを選ぶ。第三に、収容の人数。家族の人数に予備を足し、四人の家族なら六〜八人向けのモデルが目安になる。第四に、滞在できる時間。空気を浄化する装置の性能で、七十二時間から二週間まで幅がある。この順で決めると、過剰な性能に払いすぎることも、逆に足りないこともなくなる。たとえば、地震への備えが第一で予算をおさえたい家庭なら、耐震の部屋型が現実的な出発点になる。核やガスまで一気に想定するなら、屋内設置型から検討するとよい。迷ったら、守りたいリスクを紙に一つだけ書き出すと、選択がしぼれる。
設置の期間と流れ
設置は、問い合わせから引き渡しまでいくつかの段階を踏む。おおまかには、現地の調査、プランと見積もり、契約、工事、そして引き渡しと使い方の説明、という流れだ。工事にかかる期間は、タイプで大きく変わる。地下型はおおむね一〜二か月、屋内設置型なら一〜二週間が目安になる。地下型は地盤の調査や掘削が入るぶん、日数も費用もふくらみやすい。急いで備えたいのか、性能を優先したいのかで、選ぶタイプと工期の折り合いが決まる。時間の制約がある場合は、この工期の差も判断の材料になる。
いまの補助制度
個人の購入を直接ささえる国の制度は、いまのところ整っていない。日本の防災政策が、これまで自然災害への対策に集中してきたためだ。ただし2026年3月31日に閣議決定されたシェルター確保の基本方針では、容積率の緩和や認証の制度など、民間の設置を後押しする仕組みが検討の課題として挙がった。将来は、自治体が本体価格の10〜20%ほどを補助する制度を設ける可能性もある。現時点で確実なのは、助成の有無が自治体ごとに大きく異なる点だ。購入を検討するなら、まずお住まいの自治体の窓口で、その年度の助成があるかを確かめるのが早い。市場の全体像は防災・レジリエンス市場マップにもまとめている。(出典: SHELTER HUB/内閣官房 シェルター確保 https://www.cas.go.jp/jp/seisaku/shelter/index.html )
--- 関連情報:製品の詳しい仕様・ラインナップは WiZUP に、導入の相談は取扱窓口にまとまっている。
(末尾更新日: 2026-07-09)
国土強靭化に関わる政策・制度・予算を、建設/不動産/施設運営の経営判断に使える形で読み解く編集チーム。
