「BCPを作らなきゃいけないのはわかっている。でも人手も時間もない」——中小企業経営者のこの悩みに、2026年は大きな変化が起きています。東京商工会議所がAIでBCPを自動生成する「SONAE-AI」を無料提供し始め、国の認定制度や自治体の助成金も拡充されています。本記事では、2026年度に使えるBCP関連の主要な支援制度を整理し、活用の優先順位を解説します。
1|SONAE-AI:AIがBCPの下書きを自動生成する新サービス
1-1 概要
2026年1月19日、東京商工会議所は初のAI活用BCP策定支援システム「SONAE-AI(ソナエアイ)」の提供を開始しました。企業情報をアップロードするか自社のWebサイトURLを入力するだけで、AIがBCPの下書きを自動生成します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供開始 | 2026年1月19日 |
| 利用料 | 無料(東京商工会議所の会員登録が必要) |
| 対応コース | 超入門(首都直下地震対応)/ 簡易版(全災害対応)/ 基本(全災害対応) |
| 特徴 | AIアシスタントが策定過程を伴走サポート |
※出典:東京商工会議所「AIを活用したBCP策定支援システムSONAE-AIを提供開始」2026年1月19日 https://www.tokyo-cci.or.jp/page.jsp?id=1208216
1-2 なぜ注目すべきか
東京商工会議所の調査によると、会員企業のBCP策定率は28.0%にとどまっています。策定が進まない理由として「人手不足」「時間がない」「具体的な対策がわからない」が挙げられており、SONAE-AIはこの3つの障壁を同時に解消することを目指しています。
活用のポイント
SONAE-AIで作成したBCP下書きは、そのまま次項の「事業継続力強化計画」の認定申請にも活用できます。AIで下書き → 認定申請 → 税制優遇・補助金加点という流れが、最もコストパフォーマンスの高いルートです。
※出典:共同通信PR「東商初のAIを活用したBCP策定支援システムSONAE-AIを提供開始」 https://www.kyodo.co.jp/pr/2026-01-19_3986924/
2|事業継続力強化計画:国の認定で税制優遇・補助金加点を得る
2-1 制度の概要
中小企業庁が運用する「事業継続力強化計画」は、中小企業が策定した防災・減災の事前対策計画を経済産業大臣が認定する制度です。認定を受けると、複数の支援措置が利用できます。
| 支援措置 | 内容 |
|---|---|
| 税制優遇 | 防災・減災設備の特別償却(取得価額の16%) |
| 金融支援 | 日本政策金融公庫の低利融資、信用保証枠の拡大 |
| 補助金加点 | ものづくり補助金等の審査で加点 |
| 自治体支援 | 認定を要件とした県・市独自の補助金 |
※出典:中小企業庁「事業継続力強化計画」https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/antei/bousai/keizokuryoku.html
2-2 認定期間と申請タイミング
認定制度の有効期間は令和元年7月16日〜令和9年3月31日です。認定を受けた日から1年以内に対象設備を取得・事業供用すれば、特別償却の適用を受けられます。
2026年1月1日付で基本方針が更新されており、最新の災害リスクや対策技術を反映した内容となっています。
※出典:中小企業庁「事業継続力強化計画 認定制度の概要 令和8年3月17日版」PDF
2-3 特別償却の対象設備
特別償却の対象となる設備は、計画に記載された防災・減災設備です。代表的なものとして以下があります:
- 自家発電設備(一定規模以上)
- 排水ポンプ
- 防火・防水シャッター
- データバックアップ用サーバー
- 衛星電話・無線設備
建設業者にとっての二重のメリット
建設業者は①自社のBCP強化(自家発電・データバックアップ等の税制優遇)と、②顧客への提案(「認定を取りませんか?設備工事もうちで」)の両面で活用できます。
3|BCP実践促進助成金(東京都):設備導入に最大1,500万円
3-1 制度の概要
東京都中小企業振興公社が運用する「BCP実践促進助成金」は、BCPを策定済みの中小企業がBCP対策に必要な設備・物品を導入する際の費用を助成する制度です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 助成上限額 | 1,500万円(うちクラウド化上限450万円) |
| 助成下限額 | 10万円 |
| 助成率 | 中小企業:1/2以内 / 小規模企業:2/3以内 |
| 対象者 | BCP策定支援事業を受けた中小企業、または事業継続力強化計画の認定企業 |
※出典:東京都中小企業振興公社「BCP実践促進助成金」https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/bcp.html
3-2 申請の前提条件
この助成金を利用するには、以下のいずれかの条件を満たす必要があります:
- 東京商工会議所等のBCP策定支援事業(BCP策定講座・コンサルティング)を受けたこと
- 事業継続力強化計画の認定を受けていること
- 平成28年度以前の都・公社のBCP策定支援事業を活用してBCPを策定済みであること
SONAE-AI → 事業継続力強化計画 → BCP実践促進助成金の3ステップ
①SONAE-AIでBCPの下書きを作成 → ②事業継続力強化計画の認定を申請 → ③認定取得後にBCP実践促進助成金で設備導入。この3ステップが、最も効率的に最大限の支援を受けるルートです。
4|その他の活用可能な制度
4-1 IT導入補助金
中小企業庁が運用するIT導入補助金は、データバックアップシステムや従業員安否確認システムなど、BCP関連のITツール導入にも活用できます。BCP目的での活用は見落とされがちですが、対象経費に含まれる場合があるため確認をおすすめします。
4-2 地方自治体独自の補助金
事業継続力強化計画の認定を要件として、各県・市が独自の補助金を設けているケースがあります。自社の所在地の自治体に問い合わせることで、国の制度と地方の制度を併用できる場合があります。
5|活用の優先順位まとめ
| 順序 | アクション | コスト | 得られるもの |
|---|---|---|---|
| ① | SONAE-AIでBCP下書き作成 | 無料 | BCP文書のたたき台 |
| ② | 事業継続力強化計画の認定申請 | 無料(自社作成の場合) | 税制優遇(16%特別償却)・補助金加点・金融支援 |
| ③ | BCP実践促進助成金の申請 | 申請の手間のみ | 設備導入費の1/2〜2/3(上限1,500万円) |
| ④ | IT導入補助金・地方自治体補助金 | 申請の手間のみ | ITツール・追加設備の補助 |
この記事のポイント
- 2026年1月にSONAE-AIが登場し、AIでBCPを無料作成できる時代に
- 事業継続力強化計画の認定で16%特別償却・補助金加点・低利融資が得られる
- BCP実践促進助成金で設備導入費の最大2/3(上限1,500万円)が補助
- 「SONAE-AI → 認定 → 助成金」の3ステップが最もコスパの高いルート
- 認定制度は令和9年3月31日まで有効。早めの申請が吉
強靭化Bizナビ編集部
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